コース紹介

情報学とシステム

 

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コンピュータネットワークや生産システムなどがますます大規模かつ複雑化する今日,人工システムを開発・運用していくための技術がますます重要になっています.

本コースでは,人間 -機械-環境の関わり合いの解明,システムのモデル化・構成法の研究,情報通信,画像・知識情報処理,医用工学,応用情報学などの教育・ 研究を通じて,大規模・複雑なシステム構築のための方法論を探求しています.


あらゆる「動き」の本質をつかみ活用する

システム科学コース 大塚 敏之

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システム科学とは,あらゆる対象を抽象化し「システム」としてとらえて理解しようとする学問です.その中でも,私の専門である動的システム論や制御工学では,数式を使って「動き」の一般的な性質を明らかにしたり,望ましい「動き」を実現するための原理を作ったりします.私たちの周りにある機械や自然現象等のさまざまな「動き」は,無関係に見える事象でも根底に共通性を持つ場合があります.したがって,動的システム論や制御工学の理論やアルゴリズムは,自動車やロボット,航空機,環境・エネルギー,社会・経済など,あらゆる対象に適用できるのです.このような学問分野を学び研究することは,実社会で役立つのはもちろん,個々の対象ごとの表面的な違いによらない本質をつかむ満足感も与えてくれます.システム科学の概念や手法には本質ゆえの美しさがあると私は考えています.身の回りのいろいろな事象に共通する原理に興味を感じる人,システム科学の知識を身につけるとともに何が本質かを見抜く感性を養いたい人を,システム科学コースは歓迎します.


未知の課題にチャレンジするための「方法」を学ぶ

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システム科学コース 下平 英寿

システム科学コースでは様々な分野の研究を行っています.例えば,生体システムや機械システムなどからセンサーで情報を計測し,内部状態の推定や将来の予測を行い,さらにそれを制御する研究です.脳の神経回路が情報を処理する原理を解明して,不確実で変動する環境に適応し,学習や推論をする能力をもったシステムを作る研究もあります.また,ウェブなどから得られる膨大な画像や文書のデータから推論や発見を行うアルゴリズムとその理論の研究や,そのようなシステムを実現する高性能並列計算の研究も行っています.

これらの研究分野はシステムに関係しているというだけでなく,実はそこで行われている研究には多くの場合,共通する考え方があります.それは情報の流れを意識して数理的なモデルを通して研究を行うことです.異なる対象であっても,数理的なモデルによって同じように扱い,広い視野をもつことができます.例えば,頂点と辺からなる「グラフ」によって,ネットワーク(神経回路網,ウェブのリンク構造,鉄道網など)だけでなくソーシャルメディアでタグつけされた画像のような関連性をもったデータ構造も表現されます.このようにモデル化された対象は数学的な方法で扱うことができるため,さらに研究が発展します.効率的な情報検索のためにグラフ埋め込みという手法が機械学習で盛んに研究されていますが,階層構造をもつグラフはまっすぐなユークリッド空間ではうまく表現できず,双曲空間という曲がった空間を用いることで性能が向上しました.

数理的な研究を抽象的に行うだけではなく,現実世界における対象を強く意識することもシステム科学コースの特徴です.これまでに体系化された方法を現実世界における課題へ適用することで解決する場合もありますが,困難な課題にチャレンジすることで次の新しい方法が生み出されることもあります.例えば統計学における方法論の研究では,データから推測や予測をするための新しい方法を探求しています.このとき重要となるのはやはり確率論や最適化などの数理的基礎分野です.

このようにシステム科学コースでは数理的基礎と応用領域が相互に影響を与えつつ研究が行われています.大学院における研究や講義を通してその一面を体験し,視野を広げ,問題解決のための普遍的な考え方や姿勢,すなわち「方法」をぜひ身につけてください.そして未知の課題にチャレンジしたり,あたらしい技術や学問を作ったりするきっかけとしていただければ幸いです.

研究活動図

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