情報学研究科 システム科学コース 連携ユニット研究室紹介

  • 人間機械共生系講座
  • システム構成論講座
  • システム情報論講座

 システム科学に関する幅広い視野を有する高度人材の養成を目的として、ATR脳情報研究所、理化学研究所脳科学総合研究センター、沖縄科学技術研究基盤整備機構との間で「計算神経科学連携ユニット」を設置しています。 これら連携ユニットの研究内容は下記のとおりです。


計算神経科学連携ユニット(志望区分:シ-9(a)(b)(c))

  • 計算神経科学、ブレインネットワークインターフェース、局所回路情報処理、神経情報の解読、大脳基底核と神経修飾物質、進化ロボティクス

連携ユニットは当研究科教員のほか上記の他機関(一部の場合もありうる)からの連携教員で構成され、 当研究科教員の主任指導の下で他機関の連携教員からの研究指導補助を受けます。その他の履修要件、修了要件は同一です。




国際電気通信基礎技術研究所連携 志望区分:シ-9(a)

教員:川人光男


当研究室では、ヒトの脳活動信号から脳に表現されている情報を解読し、その情報を使って脳を操作し、脳機能を理解する研究に取り組んでいます。現在、特に下記の研究プロジェクトに参加する学生を募集しています。


(a)脳と人工知能をつなぐ

ヒトを含む動物は、少数のサンプルから学習できることが知られています。それに対してディープ ニューラルネットワークを含む現在の人工知能はパラメータと同じ程度の数の学習サンプルを必要 とします。メタ認知、生成・解析モデルの多重階層性、神経活動の同期などが脳の秘密と考えられ ます。脳のこのような特徴を理解して、次世代の人工知能の開発を目指します。


(b)ブレイン−マシーン・インターフェース

脳と機械を直接繋ぐ技術ブレイン・マシーン・インタフェースは、感覚・運動・中枢機能に障害を 持つ方のみならず、健常者の能力増進を図るブレインテックの一部として、注目されています。 特に、非侵襲的な脳活動計測データにデコーディング手法を適用し、それを報酬として被験者に フィードバックするデコーディッドニューロフィードバックで脳の特定の部位に特定の情報に対応した 活動パターンを誘導できます。この手法により、精神疾患の治療、囚果的な神経科学の確立を目指します。




理化学研究所連携 志望区分:シ-9(b)

教員:磯村拓哉、Louis Kang


脳はニューロンがつくる神経回路によって情報を処理しています。 当研究奎では、記憶や意思決定などの行動の背景にある脳の計算原理を、 理論と実験を組み合わせることで、神経回路メカニズムのレベルから解明することを目指している。 大学院での主な研究テーマは以下のようなものです。


(a)神経回路の情報処理原理の解明

神経科学の主要な数理モデリングアプローチである神経回路の力学系モデルと脳のベイズ推論 モデルを統合• 発展させ、知的情報処理の回路メカニズムを探っていく。解析的に解けるモデ ルで神経活動や可塑性のダイナミクスとベイズ推論や自由エネルギー原理の関係を調べたり、 感覚情報処理や適応的行動制御の神経メカニズム解明を目指したシミュレーションなどを行う。


(b)神経活動データの解析による神経情報表現の解明

多細胞記録や光計測によって得られる神経集団の活動データから、特徴的な時空問構造を抽出 し、脳の神経活動と記憶、運動、学習などとの関連を探る。この研究のゴールは、神経細胞と 神経回路のダイナミカルな情報表現の仕組みの解明であり、その目的のために、さまざまな情報学的な 解析手法およぴシミュレーションを利用する。




沖縄科学技術研究基盤整備機構連携 志望区分:シ-9(c)

教員:銅谷賢治


当研究室では、人や動物のように柔軟な学習能力を持つ機械やプログラムをいかに作るかという情報工学の問題と、脳の柔軟な学習能力はいかに実現されていのるかという神経科学の問題を、相補的に解いていくことを目標にしています。 そのため、ロボット実験、脳科学実験、学習理論の3つのサブグループが互いに協力しながら、沖縄の明るく国際的な環境のもとで研究を進めています。


 ロボットの脳をつくる: 自己保存と自己複製という生物にとって最も基本的な条件を満たすロボット集団を構築し、そこで必要となる学習と進化の機構を探っています。


 脳の働きを探る: 新たな行動を成功や失敗の中から学習する「強化学習」が、脳のどのような神経回路と物質の働きで行われているかを明らかにするため、ネズミの脳の神経活動記録、人の脳活動計測などの実験を行っています。


 学習の原理をきわめる: 未知の状況に柔軟に適応するためのベイズ推定と強化学習の新たなアルゴリズム開発と、その脳神経系の実験データからモデルを構築するためのツールとしての応用を進めています。

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